暖かい雪に包まれた大地





その日…真雪はゆっくりと目覚めた。

だが、まだ時間としては午前7時半と言ったところだ。

「おかあさん、おはよーー!!」

「ん‥おはよう、信也…お父さんと雪菜は?」

真雪は自分の息子を撫でる。

「下でご飯を作ってるよ」

信也はそう言って彼女を引っ張ろうとするが、体の大きさから中々上手く行かない。

真雪が苦笑しながら、一緒に歩いていく。

寝室を出ると、良い香りが漂っている。

部屋に入ると娘が抱きついて来た。

「おかあさん、おはよ〜」

「おはよう、真雪」

「おはよう…恭也、雪菜」

真雪はゆっくりと席に着いた。

雪菜が真雪の前に料理を置く。

「へぇ〜、こりゃ上手そうだな」

「えへへ、ゆきなもおてつだいしたんだよ」

雪菜が胸を張る。

「よしよし…それじゃあ」

真雪はそれを箸をつけた。

「ん…おいしいよ」

「あ、おかあさん、ぼくも〜」

真雪が雪菜の頭を撫でようとすると信也もおねだりして来た。

真雪は微笑んで二人をゆっくりと撫でる。

「ほら、二人ともそろそろ学校だぞ」

「「は〜い」」

二人は少し不満げにそう言いながら、部屋を出て行った。

「ふぅ…ちょっと疲れた」

真雪がそう言うと恭也が真雪の後ろでゆっくりと肩を揉んだ。

「ん、そこ…ん…」

真雪が少し色っぽい声を出す。

「「いってきま〜〜す!!!」」

「いってらっしゃい、車に気をつけなさい」

は〜いっと二人が元気に返事をして出て行った。

「はぁ…ここまでよく育ったよなぁ」

真雪がそう言うのを聞いて恭也は苦笑していた。

「ん?何だ?」

「いや、そう言う口調を聞くのが久しぶりだったから…」

真雪はタバコではなく禁煙パイポを口にした。

「あぁ〜、確かにな。
 でもあの頃の私は絶対にこんな物口にしないって思ってたのになぁ」

「それを言ったらあの時、俺と真雪が結婚するなんて誰も夢にも思ってなかっただろ」

二人は暫らくして大きな声で笑い始めた。

「ははは、確かにそうだ。
 恭也は朴念仁で全員の恋心に気づかなかったんだよな」

「だけど…ちゃんと想いは伝えただろ」

恭也が真雪の口にキスをする。

「…こう言う所も…あの頃からは想像できなかったな。
 この間、桃子さんに言ったら、喜んでたぞ」

真雪がそう言うと恭也の動きが止まった。

「『恭也ったら…やっぱり士郎さんの子供だわぁ』だってさ。
 今度目の前でするか?」

「い、いや、それは流石に」

慌てる恭也を見て真雪はまた笑った。

「そう言えば…殆ど主夫になっちまったなぁ」

「…昔は父さんと同じ仕事に就こうと思ってたんだが…
 俺の好きになった人は、まずこっちから支えた方が良かったからな」

恭也は真雪を見て苦笑した。

「ん…本当に助かってる…今度の漫画も調子良いしな」

今度は真雪が恭也にキスをする。

「ん…こら、舌を入れるな」

「先に入れた来たのは真雪だろ」

恭也がそう言って真雪を後ろから抱きしめる。

「……あの頃…何人がこうなりたかったか…わかるか?」

「……わからない…そして分かりたくない…俺は皆を傷つけたんだ…」

「…私の母親の言葉だけどな…」

恭也の言葉に真雪は優しい口調で言葉をつむぎだした。

「人はハリネズミだってよ。
 誰かと近づくと針が刺さるのが分かっているから出来るだけ近づかない。
 だけど……誰かを好きになったらそれすら気にならない…。
 だから…好きな人を決めるのは誰を傷つける……。
 恭也の場合、相手が偶々多かっただけで…さ」

真雪はそう言うと恭也から離れ、振り返った。

「だから…一緒に笑って暮らそう」

恭也は改めて知った。

真雪を支えているのは自分だ…だが自分は真雪に包まれている。

そして…人間性という所で、どうしても真雪には叶わないと…。

「ん?どうしたんだ?」

「いや…惚れ直してた」

「ば、バカ言うなよ」

真雪は顔を真っ赤にしてそう言う。

こう言うところは変わっていないようだ。

「俺は、暖かい雪に包まれてるなっと思っただけだ」

「だから…そういうクサイ台詞は…いや、私だけにしろ」

その言葉に恭也は苦笑した。

「それと…お前は雪に包まれてるって言ったよな」

恭也は黙って頷いた。

「なら…恭也はこの大地だ…雪は冷たく大地を覆う…それが暖かく感じられるのは…恭也のお陰だよ」

恭也は顔を真っ赤にして照れている。

それを見て真雪は笑った。

暖かい雪に包まれた大地…雪を受け止めるのはやはり大地だ。

大地が冷めない限り雪は熱で溶けるだろう…。

だが…この雪は永遠にこの大地を包むだろう。

そして、この大地は永遠に雪を受け止めるだろう。

「なぁ…どうせだから‥」

「‥そうだな…あの二人にまた取られる前に…」

雪と大地が愛を語る。

















あとがき
どうも、sougaです。
え〜、相互記念SS『暖かい雪に包まれた大地』をお送りしました。
何故か恭也らしくない恭也と、真雪らしくない真雪になってしまいましたが…如何だってでしょうか?
稚拙な文章ですが、お楽しみ下されれば幸いです。
では…今後ともよろしくお願いします。


管理人2号の感想
sougaさんありがとうございます〜〜
いやいや、とてもよかったです〜〜このほのぼの間と恭也らしくない恭也、真雪らしくない真雪もとてもよかったです〜〜
こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。


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